美人で何が悪い

アボカドが大好きだ。ほとんど毎日のように食べている。
スーパーで見ると大抵一個125円くらいだが、時々100円になっている時は、まだ青味の残っている固いのと、熟成が進んでいるのを混ぜていくつか買って来る。食べごろのやつから食べて、固いのはそのへんに転がしといて柔らかくなるのを待つという具合。
みなさんは、アボカドをどんなふうに食べますか。薄く切ってマグロの刺身と一緒にワサビ醤油で、というのがわりとポピュラーな食べ方だろうか。
私はディップにすることが多い。スプーンでくり抜いた中身をボールの中でフォークとスプーンで押し潰してなめらかにし(ミキサーでもいいが後で洗うのが面倒だから私はフォークとスプーン)、マヨネーズと赤味噌をそれぞれ大さじ一杯くらいとレモン汁を一絞り、胡椒を少々。これらをよくよく混ぜ合わせると、一見レバーペーストのような状態になる。
キュウリやセロリや人参や白菜の芯をスティックにして、このアボカドディップをつけて食べると、いくらでも食べられる。一日にキュウリを三本食べてしまったことがあった。
私はあまり料理に手間をかけない。普段の料理はだいたい焼くか茹でるか和えるかしたら、すぐ食べられるようなもの。たまに煮物。忙しい時は、出来合いのもので済ます。お腹が空いていれば、大抵何でもおいしく食べられる。


ジェンダー入門の授業でアンケートを取ると、結婚相手の条件として、相手に「可愛いこと」と「料理がうまいこと」を望む男子が結構いる。理想的な奥さんの条件とは、顔と料理の腕が高レベルでクリアされていること。
それを望みたい気持ちはよくわかるが、それしか書いてないと「他には?」と言いたくなる。しかし女子からは、料理が苦手なことを気に病む声が時々聞かれる。
料理好きな人と好きじゃない人、やり慣れている人と慣れてない人の差はあって当然である。
相手が料理下手だったらおいしいものを食べに行って、「この味付け変わってるね、調味料何だろう」とか「茹で加減が固めだから歯ごたえがあっていいね」とかの会話をして目覚めさせるようにするとか、自分が頑張ってやってみせたりすればいい。下手でも少し興味を持てば、やっているうちにだんだんそれなりになっていくものだ。


もし「美人になりたいか、料理上手になりたいか?」と訊かれたら、私は迷わず「美人」と答えるだろう。
美人とは才能の一つである。才能は、誰でも持っているようなものではないから価値がある。料理もある程度才能は関係するだろうが、生まれつき土台として備わっているものと、頑張ればそこそこ出来そうなものだったら、前者を選ぶだろう。
だいたい、単に見ることだけで美人は人に感銘をもたらすが、料理は食べてもらわないとならないので、そのアピールの範囲が狭められる。


「私は美人」ということを匂わせるようなことを、堂々とブログに書ける人は少ない。美人(上げ底なしで)の女性の絶対数が少ないのだから、それは当たり前だ。
それに「顔がキレイな御陰で男性からの印象はいいようだ」などと書いたら、確実に同性の反感を買う。
「あまりに美人なせいか、男性に避けられがちなのが悩みです」などと書いたら、ブクマで散々嫌みを書かれるだろう。正直なことを書いていても、「モテ自慢」「ルックス自慢」と取られてしまう。
高学歴なために男性に避けられがちだという女性の声が共感を呼んでも、美人過ぎて男性に避けられがちだと言うのは、共感を呼ばないのである。
学歴も容貌も人のコンプレックスの要因になる二大要素だ。高学歴の女性はもともと頭の出来が良かった上に努力を重ねて高い学歴を得たのであり、美人の女性ももともと素材が優れていた上にメンテを怠りなく磨きをかけてますます美人になったのである。
方向は違うが、高いレベルが男性に避けられるという点で同じであり、理不尽さも同じだと思うのだが、美人の方は同情されない。


「私は美人」といったことはブログに書けなくても、「私は料理大好き」「結構、料理は得意」は書き易いのではないかと思う。写真が載っていたりするとほのぼのするし、レシピなど詳しく紹介されていれば「あ、今度作ってみよかな」という気になることがある。
料理好きな人が料理について生き生きと語っているのは、わりかし好感が持たれる。料理が苦手でコンプレックスにまでなっている女性が見たら、さらにコンプレックスを刺激されるかもしれないが、おそらく男性の好感度は非常に高いだろう。
料理ができることや学歴が高いことを書いていいなら、美人であることを書いてもいいと思う。美人だけは、努力より生まれつきに依るところが大きいので控えるべきなのか? しかしどっちにしても、コンプレックスを刺激される人は刺激されるのである。
私だったらさりげなく自慢してみたいよ。
持って生まれた才能をアピールして何が悪いの? 
そんなことで嫉妬する人は嫉妬させておけばよろしいんじゃありません?


‥‥って、アボカドディップの話なんか書いてほのぼの系にしようとしたのに、なんでこうなった。


●追記・ブクマより
>かっこいいとかかわいいとかは遺伝より規律訓練の成果でしかない
そういうことを言っているのではないのです。そもそも「かっこいい」とか「かわいい」などということは、どうでもいいと思っています。
こないだ知人の女性とメールでやりとりしていて、美人にはハードとソフトがあるという話になりました。ハードは生まれ持った容貌・スタイル(先天的=遺伝)、ソフトはおしゃれや立ち振る舞い、表情(後天的=規律訓練)です(それらの混合はもちろんあります)。
このエントリでは、後天的な規律訓練のことはあまり問題にしておりません。美人と言っているのは、あくまでハードの美人です。ハードの美人とは、美が最初から顔に刻印されている人のことです。いかなる規律訓練も凌駕する圧倒的な造形美というものが世の中にはあります。その事実は認めましょうよ。
もちろん私は貧弱なソフトしか持たない口ですけどね。