『グッドライアー 偽りのゲーム』と『ブルーバレンタイン』(連載更新されました)

ForbesJapanに連載中の「シネマの女は最後に微笑む」第84、85回、2本続けてのお知らせです。それぞれ一組の男女のドラマですが、いずれもキャスティングが素晴らしいです。

 

◆『グッドライアー 偽りのゲーム』(ビル・コンドル監督、2019)

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 投資話で相手から資産を巻き上げようとする老詐欺師と資産家の老女の、一筋縄ではいかない関係を描くミステリー。ヘレン・ミレンイアン・マッケランという組み合わせが、まさに眼福もの。並んでいるだけで絵になる二人ですね。
前半は「男の物語」かと思わせておいて、後半に「女の物語」へとすべてのカードが裏返っていく展開がスリリング。なぜに歳を重ねた二人なのかという点も、それぞれの過去が明らかになっていく中で説得力を増してきます。

大詰めのアクションシーンは個人的にはちょっとくどいかなと思いましたが、まあよくやりましたねお二人ともなかなかの根性‥‥という印象。

 

◆『ブルーバレンタイン』(デレク・シアンフランス監督、2010)

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 愛の始まりと終わり、その圧倒的な落差を酷薄なまでに描き切った傑作。「最後に微笑む」映画からは外れますし、「鬱映画」と言われたりもしていますが、どうしても取り上げておきたかったので。
どちらが悪いということではない、頂点を迎えてからは徐々に落ちていくしかなかった恋愛の悲劇。出会いと別れを経験したことのある人なら、エグられるシーンは多いでしょう。
ライアン・ゴズリングミシェル・ウィリアムズの組み合わせが最高です。アメリカのどちらかというと低所得の若いカップルの雰囲気が、よく出ている感じがします。
どちらにより感情移入できるかというのは人によるでしょうが、妻の意識についていけてない夫が少し気の毒かなと思う人は、わりと多いのではないでしょうか、どうでしょうか。