学校

「教えて下さってありがとうございました!」と「悪いということを知らなかったんだから」

大学の授業内で時々ミニレポートを書かせ、その提出をもって出席票に替えている。その日、家に帰って80人あまりの学生のミニレポートを読んでいたら、ほぼ同じ内容のミニレポートが続けて四枚出てきた。内容もそっくりなら書体もまるでそっくり。すぐに、こ…

トークセッションのお知らせ

今月17日(土)、静岡でトークセッションに参加します。静岡県芸術祭の関連イベントです(なんか最近、静岡づいています)。 以下は、チラシ文面の書き起こし。 第56回静岡県芸術祭 ふじのくに芸術祭2016 大野左紀子 × 大岡淳 トークセッション 「誰でも表現…

「愛の言葉」とコミュニケーション強制ギブス

「社会に通用する奴」は多様化しなかった - シロクマの屑籠 ポスト工業化社会の労働者の人間疎外とは、生産ライン上で同じ肉体労働を繰り返すタイプではなく、コミュニケーションを強いるタイプになるのだろう。いや、もう既にそうなっているか。 この最後の…

「わくわくが止まらない」が止まらない

時期外れの話題だが、大学の学期末レポートを読んで気になったこと。 地方の芸術系大学の1年生中心の一般教養のレポート。最近目につき出したのは、以下のようなフレーズ(今期の例)。 ・わくわくが止まらない。 ・精一杯の私で応える。 ・好きを追求して…

『電信柱エレミの恋』と『ローマの休日』、欲望と責任の問題

今期から京都造形芸術大学のアート・プロデュース学科の学生対象に、「観る・読み解く・書く」というテーマの講義をやっている。この数週間は、中田秀人監督の短編ストップモーションアニメ『オートマミー』(2000)と、同監督の中編『電信柱エレミの恋』(2…

インターハイ女子バスケ初観戦記

外に出るとバターのように溶けてしまいそうな暑さですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 外飼いのうちのワンコも、日の高い間はさすがに家の中に入れてやっています。犬が溶けて虎のバターになったら悲しいですからね。 ● 先月末、インターハイ女子バスケ…

自分の文章が入試問題に使われること

センター試験の国語に「クソリプ」「パクツイ」問題 著者「俺が正解できるのか」 - ねとらぼ 上のタイトルだけ読んで一瞬「センター試験の問題に、クソリプとかパクツイという単語を散りばめたテキストが採用されたのか、すごいな」と思ったらそうではなく、…

美大生の関心、山脈地形図、砂漠のオアシス

最近Twitter上で気になった、美大生に関する呟き。 そういや、先週末のゲンロンカフェのあとのバータイムで、美大生の関心の幅が狭くなってきていて、マンガなどのサブカルチャーに関心を示さないひとが目立つ的な話をきいた。— 伊藤 剛 (@GoITO) 2014, 11月…

好きなアーティスト、嫌いなアーティスト2

昨年に引き続いて、地方の某私立芸大で持っている講義の中で、「好きなアーティスト、嫌いなアーティスト」のアンケートを取ってみた。 美術学部18人、デザイン学部38人。男女比は女子が8割強を占める(大学全体でも女子割合は7割くらいか)。 「美術、あ…

「やり方」を教えること

上のトークイベント告知記事を挙げてネットを巡回していたら、とても関連する内容の記事がブックマークを集めていた。 「好きに書きなさい」はタイミングによっては最悪。:島国大和のド畜生 読書感想文で、絵画で、自由研究で、基本的なやり方を教えず『自…

好きなアーティスト、嫌いなアーティスト

前の記事のUst発言起こしの部分で持ち出されている「美大生の好きなアーティスト、嫌いなアーティスト」というのを、自分の講義(名古屋芸術大学での「ジェンダー入門」)を受けている学生対象でやってみた。 講義本題に入る前に、出席票の裏に書いてもらう…

子どもの「美術離れ」と大人の「信仰」

くらしナビ・学ぶ:美術離れ、食い止めたい 武蔵野美大、公立小中の出張授業 - 毎日jp(毎日新聞)より 子供の「美術離れ」が懸念(けねん)されている。学力低下が指摘される中、昨年度から完全実施された中学の学習指導要領で、美術や音楽の選択教科が廃止さ…

鴨川の鹿、畳の匂い、エスプレッソ

‥‥‥そんなわけで、愛犬の死、愛猫との別れ、気管支喘息と、この2週間続けざまに心身に喰らったダメージで「もうやめて!サキコのライフはとっくにゼロよ!」*1状態だったが、体調だけは何とか回復させ、昨日は特講で呼ばれていた京都造形芸術大学へ。アート…

丸くなるということ

1年くらい前の話。デザイン専門学校が終わって帰る道すがら、授業で組んでいる若い講師の人に「しかし大野さん、丸くなりましたよね」と言われたことがあった。 「この間Mさんも、大野さん昔に比べてほんと丸くなったよねって言ってましたよ。私、一緒に授…

大学は「幸せ」について話し込む場所

昼休みに、一般教養の講義に来ている学生の一人に「作品を見てほしい」と言われ、アトリエの外壁に立てかけたかなり大きなそれを見ながら、立ち話をしていた時のこと。 まもなくアトリエからその科の実技助手(たぶん)の人が出てきて、「ふむ」というような…

出席しているのにレポートを出さない学生の謎

レポートを採点し成績表をつけていて、毎年不思議に思っていたことがあった。 私の授業ではたとえば100人履修届けを出していた場合、出席をクリアして単位認定試験(レポート)資格を得るのが80人前後。しかしその全員がレポートを提出しているかというと、…

レポート要領

この間の記事に反応が多かったので、レポートについて。 単位認定に、テストではなくレポートを課しているケースは、どのくらいの割合であるのだろうか。私の行っている地方の芸術大学では少ないようだ。テストが多い。採点が楽だということもあるのかもしれ…

言い張れば通るという感覚 

大学の講義関係で出くわした例について今までも何回か書いたが、今回はこの10年で一番驚いたケースについて。*1 ある時、単位認定レポートの中にネット上にある映画の感想文からの剽窃を数件発見し、不可にして成績表を提出した。証拠としてそれぞれのアドレ…

音声

しっかり見ていたわけではないのでうろ覚えだが、芸術高校という設定の舞台が東京・佐賀町の元食糧倉庫だった古い雰囲気のある建物(一頃カフェやギャラリーも入っていた)で、美術教師が藤谷美和子、藤谷の片思いの相手が音楽教師の陣内孝則、生徒の一人が…

ミスコンは女装コン

この間、仕事先の大学の学園祭のパンフを見た。この私立芸大はキャンパスが少し離れた二カ所に分かれていて、学園祭の実行委員会も別。私が見たのは音楽学部の方のパンフだが、「ステージ」のプログラムの中に「イケコン」とあり、その下に小さく「ミスコン…

授業中断

予備校講師の知人が職場で倒れて救急車で病院に運ばれたというので、先日、夫と見舞いに行った。脳卒中らしい。右手と右足が軽い麻痺。幸いにもそれほど深刻な事態には至らず、しばらく入院してリハビリに励むそうだ。 「ともかくトイレに行きたくてたまんな…

「正しさ」の限界と「幸せ」と困惑‥‥先日の記事について

「ヘドがでるけどナ」と書いた学生 情報が記事内で不足していたためかもわかりませんが、あちこちで誤読や誤解が見られる気がするので、前記事の補足がてら「授業のやり方について」「学生への対応と、ブログに書くことについて」「ジェンダー及び性教育につ…

「ヘドがでるけどナ」と書いた学生

大学でもっているジェンダー入門の授業ではこの数年、学生からの要望もあって、セクシュアリティについての講義時間を増やしている。特にセクシュアルマイノリティについて。 学生の大半は、セクマイの人々についてTVに出てくる芸人くらいしか知らないし、「…

「ふるーりい」

軽く二日酔いの頭痛で起きた朝、今日は人前でベラベラ喋りたくないなぁと思ったが、その程度で休講にするわけにもいかないのでバファリン飲んで車を運転して学校に向かった。 幼稚園及び小学校教諭志望者の図画工作。最近やっているのはフロッタージュやデカ…

半ズボン要求のためのスカート着用の政治的効果

校則に抗議するためスカートをはいて登校したイギリスの美少年 - GIGAZINE 女性は女装も男装も可能だが、一般的に男性は男の格好しかできない/しないことが多い。そして学校や軍隊の制服はジェンダー規範に則った正装に準じるものだから、男子のボトムは大…

知りたい気持ちとムラムラと大人の役割

子供にとっての性的世界 - 文藝春秋編 日本の論点:山崎マキコの時事音痴 一昔前の少年少女がセックスについての知識を得るのは、大抵の場合ポルノ小説(官能小説)からだ。「具体的に何がどうなって‥‥」は大人向けのメディアからこっそり盗んでくる。 でも…

誰が書いたのかわからない

3週間ほど前の話。 「ジェンダー入門」の授業後講義室に残り、一人一人から回収した出席票をチマチマとチェックしては、出席簿の方に○をつけるという地味な作業をしていた。*1 あー私の名前は左紀子だよ、佐紀子じゃないんだよ、まあ書かなくていいよ講師の…

自分の身体を中心化した支配欲の現れ、「セクハラサイコロ」

仰天!小学校「セクハラサイコロ」事件の真相 作成、行使の教諭「金八以上」と児童・保護者・卒業生が擁護 - MSN産経ニュースという記事につけた自分のブコメ 生徒にとって良い先生てのとは別に、「罰」の内容が全部この教師の身体や行為(する真似だったに…

図工の時間は楽しかったですか?

(※追記あり) Togetter - 「「絵の描き方」を習った覚えがないよ」 はてなブックマーク - Togetter - 「「絵の描き方」を習った覚えがないよ」 はてなブックマーク - はてなブックマーク - Togetter - 「「絵の描き方」を習った覚えがないよ」 はてなブックマ…

自画像をめぐる自意識

画学生が取り組む課題の一つに、自画像がある。手頃なモチーフがなくモデルも手配できず描きたい場所は遠過ぎる、そんな時でも困らない一番身近な対象、自分自身。だから、貧乏な画学生は絵の修練のためによく自画像を描く。 画家の自画像も面白い。自画像で…