身体、それは最後の抵抗の場・・・『バービー』

「映画は世界を映してる」第3回は、アカデミー賞の賞レースにはあまり噛めなかったものの、話題性では昨年の洋画を代表すると言っても過言ではない『バービー』(グレタ・ガーウィグ監督)を取り上げています。 forbesjapan.com ネット上でも様々な観点から…

今こそ見たいパレスチナを知る映画『パラダイス・ナウ』

連載「映画は世界を映してる」第二回は、『パラダイス・ナウ』(ハニ・アブ・アサド監督、2005)を取り上げています。 forbesjapan.com パレスチナの二人の若者が対イスラエルの自爆テロ要員に選ばれてからのまる二日を、彼らの日常を交えて描いた秀作。 途…

新連載始まりました・・・第一回は『ハドソン川の奇跡』

最近の事件や事象と関連した映画を取り上げる新しい連載が、ForbesJAPANで始まりました。 第一回は、今月2日に起きた羽田空港での事故及び救出劇を受け、実話を描いた『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド監督/2016)について書いています。巧…

耳を掻けど一匹(ひとり)

飼い犬タロになっているつもりで詠む「犬短歌」、2023年下半期の歌です。まあまあのも今ひとつのも全部上げました。気に入ってる歌の最後には*マークをつけてます(/サキコとあるのは私名義の歌)。俳句も少々あります。 ◆ 七月 仲直りするには一におやつ…

「もし君がこの世にいなかったら」という設定が効いてる平凡な男の『素晴らしき哉!人生』

『シネマの男 父なき時代のファーザーシップ』第24回で取り上げたのは、往年の名作『素晴らしき哉!人生』(フランク・キャプラ監督、1946)です。一人の平凡な男の半生に「父なるもの」がどう影響していたかに焦点を当ててみました。 forbesjapan.com 古き…

2020年の在名古屋米国領事館前ビラ撒き事件から始まったある救援活動をまとめた『自称・救援ノート』発売中です。

『自称・救援ノート 救援される前に読んどく本』が刊行されました。私は執筆と編集で関わっています。BOOTHで冊子概要と目次を公開していますので、是非ご覧ください。https://jisyokyuennote.booth.pm/items/5270402 「自称」とは「自称・救援会」から来て…

『赤ちゃんに乾杯!』の赤ちゃんの位相とは(連載更新されました)

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第23回は、独身の男三人が降って湧いた育児にドタバタする『赤ちゃんに乾杯!』(コリーヌ・セロー監督、1985)を取り上げてます。二年後にアメリカで『スリーメン&ベイビー』としてリメイクされたヒット・コメ…

古田新太×松坂桃李『空白』における「暴力」(連載更新)

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第22回は、古田新太と松坂桃李が共演した『空白』を取り上げています。 forbesjapan.com 突然の交通事故で娘を失い、タガの外れていく父親。もともと横暴な面のある彼の目につきやすい「暴力」性はやがて、周囲…

綿野恵太×大野左紀子「Twitterから考えるアンチ○○の未来」オンライン対談、まだ視聴できます

ここでの告知を忘れてましたが!先週土曜に綿野恵太さんとのオンライン対談がありました。 綿野さんの『「逆張り」の研究』についての私の感想と質問、それに対するお答えから始まり、震災以後のTwitterの雰囲気、現象、そこに見られたものとは何か?につい…

父には『家族を想うとき』なんかなかった(連載更新しました)

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第21回は、ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』(2019)を取り上げてます。 forbesjapan.com 原題は「Sorry We Missed You」(ご不在につき失礼します)。邦題からは思いもよらない”宅配の地獄”が描かれていま…

父親未満の青年と母を失った少女・・・『アマンダと僕』

告知がまた遅れましたね、スミマセン。 「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第20回は、フランス映画『アマンダと僕』(ミカエル・アース監督、2018)を取り上げています。 forbesjapan.com パリが舞台。初夏のパリの街の雰囲気が画面いっぱいに伝わ…

「シネマの男」第12回は、シェフが息子と旅する美味しい映画

あまりの暑さにこちらの更新を忘れていました。。「シネマの男」第19回は、ジョン・ファブローが監督、脚本、主演を務めたコメディドラマ『シェフ 三つ星フードトラック始めました』(2014)を取り上げています。 forbesjapan.com 配役、役者の名はテキスト…

この国はもう滅ぶのでこのへんに柴犬だけの国を作ろう

飼い犬タロになっているつもりで詠む「犬短歌」、2023年上半期の歌です。 まあまあのも今ひとつのも全部上げました。気に入ってる歌の最後には*マークをつけてます(/サキコとあるのは私名義の歌)。俳句も少々あります。 ◆ 一月 神様がスポットライトを気…

すべての記憶が混乱し消えていく‥‥『ファーザー』

『シネマの男 父なき時代のファーザーシップ』第18回は、認知症の老人の世界をミステリー風に描いた『ファーザー』(フローリアン・ゼレール監督、2021)を取り上げています。 forbesjapan.com 脚本がなかなか凝っていて、意表を突く展開があり、いろいろ謎…

実話を元にした『幸せのちから』を様々なフィクションと比べてみた

プライベートがバタバタしておりまして、こちらの告知がだいぶん遅れました。「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第17回は、ウィル・スミス父子が共演して話題だった『幸せのちから』を取り上げています。 forbesjapan.com 経済的に行き詰まり妻と…

障害者の息子と父の出会い直しを描く『靴ひも』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第16回は、2018年のイスラエル映画『靴ひも』を取り上げています。 forbesjapan.com イスラエル・アカデミー賞(Ophir賞)に8部門ノミネートされ、助演男優賞を受賞。さまざまな映画祭で観客賞も獲得している佳…

『全共闘以後』の余白に小さい字で書き込む、私の「活動」

1.『改訂版 全共闘以後』(外山恒一、イースト・プレス、2018) 1950年代から60年代末にかけて盛り上がった学生運動は、72年のあさま山荘事件以降衰退し、若者は政治への関心を失った‥‥というこれまでの見方を否定し、主に80年代以降のメインストリームでは…

『マイ・インターン』のロバート・デ・ニーロの微苦笑とは

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第15回が更新されています。 ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが共演したコメディドラマ『マイ・インターン』(2015)を取り上げました。 forbesjapan.com ヒット作ですが、好きな人と苦手な人に分かれる…

「シネマの男」第14回は「お父さんなんかじゃない」と言われた男の罪と罰を描く『鬼畜』

ForbesJapanで好評連載中の「シネマの男」第14回は、野村芳太郎監督、緒方拳主演の『鬼畜』を取り上げています。我が子殺害(未遂)に至る「父の弱さ」に焦点を当てました。 forbesjapan.com 松本清張原作シリーズの中でも、高い完成度を誇る本作では、岩下…

「シネマの男」第13回は、知的障害者の父親が主人公の『アイ・アム・サム』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第13回は、『アイ・アム・サム』(ジェシー・ネルソン監督、2001)を取り上げています。 forbesjapan.com 知的障害者の父を演じたショーン・ペンがとにかく秀逸です。どこかジェンダーレスな感じの父親像は、こ…

生きるのに意味なんかない目的もないよ冬より早く走ろう

飼い犬タロになっているつもりで詠む「犬短歌」、2022年下半期の歌です。 まあまあのも今ひとつのも全部上げました。気に入ってる歌の最後には*マークをつけてます(/サキコとあるのは私名義の歌)。俳句も少々あります。 ◆七月 夕焼けに薄いグラスをかざ…

父の原型を描いた名作『わが谷は緑なりき』(連載更新されました)

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第12回は、ジョン・フォード監督の名作『わが谷は緑なりき』(1941)を取り上げてます。 forbesjapan.com 時代の波の中で徐々に崩壊していく炭坑の村の大家族、その中心だった”古い”父の姿を、これほど味わい深…

少年は二人の父に逢う‥‥デ・ニーロ監督作品『ブロンクス物語』

連載「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第11回は、ロバート・デ・ニーロ監督の『ブロンクス物語』(1993)を取り上げてます。 forbesjapan.com イタリア系移民の少年と「二人の父」。デ・ニーロの監督作品としての評価は、王道の手堅い作りといっ…

『自転車泥棒』には三つの重要な水が登場する

ずっとバタバタしていて、すっかり忘れていました、こっちの告知。何人見て下さってるかわかりませんが、すみません。。「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第10回、今回はあまりにも有名なイタリア・ネオリアリズモの代表作、『自転車泥棒』(ヴィ…

「シネマの男」第九回は『ガラスの城の約束』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第九回は、父と娘の愛と葛藤を描いた『ガラスの城の約束』(デスティン・ダニエル・クレットン監督、2017)を取り上げています。ファンタジーものみたいなタイトルですが、実話が原作です。 forbesjapan.com 過…

「シネマの男」第八回は、夏の終わりに見たくなる『スタンド・バイ・ミー』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第八回は、『スタンド・バイ・ミー』(ロブ・ライナー監督、1986)を取り上げています。閉塞的な町で、父親があまり機能していない家庭の少年たち。四人の中でひとり健気な父性を発揮するクリス・チェンバース(…

「シネマの男」第7回は『チャンプ』

戻り梅雨もようやく明けたようです。告知、大変遅れました。 「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第7回は、1979年のヒット作『チャンプ』(フランコ・ゼフィレッリ監督)を取り上げています。 forbesjapan.com この作品は、頑張ってシングルファー…

撫でる手が時折止まりこの人の心はここにないことを知る

飼い犬タロが詠んでいるという設定の犬短歌、2022年上半期の134首です。 後で若干言葉を直したものもあります。俳句二句と私の短歌二首も入ってます。 特に気に入っている歌には、うしろに*をつけてます。 ◆一月 掌で頬を挟まれことよろと言われたどこの国…

「シネマの男」第6回は、ケヴィン・スペイシー主演の傑作『アメリカン・ビューティ』

「シネマの男」第6回は『アメリカン・ビューティ』(サム・メンデス監督、1999)を取り上げてます。 forbesjapan.com サム・メンデスはこの監督デビュー作で、アカデミー監督賞、ゴールデングローブ賞 監督賞を受賞。他に『ロード・トゥ・パーディション』…

「シネマの男」第5回は、フレンチトーストを作りたくなる『クレイマー、クレイマー』

連載更新されました。 forbesjapan.com 43年も前の作品ですが、あまり古くなっていないのに驚きます。家事育児をすべて押し付けられ悶々としている妻、それに気づかない夫、とんでもなく大変なワンオペ育児と仕事の両立、シングルファーザーの苦悩‥‥。私は子…