2014-01-01から1年間の記事一覧

家事ハラと「躾」

「家事ハラスメント」なる言葉がネットでもテレビでも取り上げられていて、「注意や指摘してるのをハラスメントとは」「いやこれが職場なら完全にハラスメント」「共稼ぎで「夫が手伝っている」というのがおかしい」などなど、議論侃々諤々ですわね、奥様。 …

家族全員、一人暮らしになった

窓から首を出し、「じゃあね。また週末来るね」と努めて明るく言って車を出した。バックミラーに映った、チワワを抱いた泣きそうな顔の義父の姿。 先週の月曜日、義母が突然亡くなってから、バタバタのうちに9日が過ぎようとしている。 その日の明け方、い…

WEB連載、更新されました。今回は「踏み台にされる女」。

映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第三回がアップされました*1。 今回は、往年のハリウッド映画の傑作中の傑作、『イヴの総て』(1950)。個人的に私のAll time best 10のうちの一本です。未見の方は是非とも!! テキストを読んでから観…

美少女は、男にとってはもちろん女にとっても「異性」

Love Piece Club - 美少女はよくてイケメンはダメ!な日本のメディア。AKB総選挙報道から見えるもの。から抜粋。 AKB48の報道を見て腹立たしいのは、いかに男が自分の欲望にだけ寛容かということが伝わってくるから。 自分が「良い」「かわいいっ」…

朝型生活、犬型生活

以前、専業主婦の妹が毎朝5時半に起きて旦那さんと娘の弁当を作っているという話を聞き、子供のいない私は「えらいなぁ、私みたいなグータラにはとても務まらない」と思った。 グータラかどうかなど関係なく、しなければならないからする‥‥ということだろう…

AERAの特集にコメントしました(日本版ハウスワイフ2.0について)

本日発売の『AERA』6月16日号の特集「その学歴に、満足していますか?」の中の「高学歴ハイキャリアを捨てた日本版ハウスワイフ2.0」に、コメントを寄せています。 当ブログのこの記事を見ての依頼で、あらかじめメールで頂いた幾つかの質問について、電話で…

『愛のお荷物』に見る「危機」と「幸福」のずれ

近所のレンタルショップに川島雄三作品を少し置くようになった(今までは『幕末太陽傳』のみ)ので、未見の『愛のお荷物』(1955)を借りる。川島監督が松竹から日活に行って初めて撮ったもの。配役がめちゃくちゃ豪華。「愛のお荷物」とは生まれてくる子供…

web連載、更新されました。絵はヘレン・ミレン様です。

WEBスナイパーに連載の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第二回がアップされています。今回は「裸になる女」です。 中高年女性が人前で裸になるなんてまずありえないから、それは「心が裸になる」とかそういう意味でしょ? いえ、文字通…

「どちらが真の弱者か」をめぐる闘争

このあたりに始まる小田嶋隆氏の「失言」問題が、まだ尾を引いているようだ。ご当人が自己弁護のつもりでブログに過去のテキストを発表したが、それが自身が否定している「バックラッシュ」や「ミソジニー」をそのまま体現しているとして、また批判を呼んで…

義父とトンカツ屋に行く

先週、薬の飲み過ぎで体調が悪化した義母が入院した。先日2回目の見舞いに行くとだいぶん元気になっていて、一安心。 病院の帰り、義父が一緒に昼飯を食べようと言うので、前に家族で行ったことのあるトンカツ屋に入った。夫が単身赴任してから、義父、義母…

書ける時間、描ける時間

以前、時々行っていた近くの喫茶店に、一人で来るおばあさんがいた。歳の頃は80歳を過ぎたくらい。 一人だけで来る人は珍しいので観察していると、彼女はコーヒーを注文した後、ラックから写真週刊誌を持って来た。次に、手提げ袋からお絵描き帖と色鉛筆のケ…

web連載のお知らせ

6年ほど前に廃刊になったアダルト雑誌『S&Mスナイパー』のweb版WEBスナイパー(18禁ですが紙媒体の方と同じくさまざまな読み物、コラムが充実)で、連載エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」が始まります。 中年(以上の)女性の登場する映画に…

「女なんかめんどくせ」の人、西島秀俊

TV

テレビで顔を見ない日はないくらい大ブレイク中の俳優、西島秀俊の「熱愛報道」についてワイドショーでやっていたのをぼんやり見ていたら、西島氏が相手の女性に求める結婚の条件というのが出てきて、ちょっと笑ってしまった。 1. 仕事のワガママは許すこと…

老人と犬

2月末以来、事故に遭った飼い犬の件でしばしば動物病院に通っていた。かなり遠くからペットを連れてくる人もいるらしい、わりと大きな病院。土日だと、診察室に呼ばれるまでに1時間以上かかるくらい混んでいる。 私のように子犬を連れている人は珍しく、だ…

『アナと雪の女王』にかかったジェンダー観の砂糖衣

「過去、女性は素晴らしい能力があっても、それが”幸せな結婚”に結び付くものでなければ女として生きるのに余計なものであるとして、発揮する機会を奪われてきた。女性の生き方として賞揚されてきたのは、生まれて初めて出会った異性と恋に落ち、一生の愛を…

藤城清治の影絵

この間の日曜日、NHK「日曜美術館」で影絵作家の藤城清治を特集していた。『「光と影の”又三郎”」藤城清治 89歳の挑戦・完結編』(前編の方は見ていない)。 昭和30年代生まれの私にとって、藤城清治の絵は幼少の頃の記憶と強く結び付いている。NHKの「みん…

女が自分を騙すとき‥‥『処女連祷』を読んで

今年は有吉佐和子没後30年ということで、集英社文庫に収録の著作が次々と復刊されるという。著名な作家にも関わらず私の既読は『悪女について』1冊だけで、映画で『紀ノ川』、テレビドラマで『華岡青洲の妻』を昔観たことがあるくらいだが、最近『処女連祷…

曲がった釘の思い出

暖かくなったので、放りっぱなしだった庭を片付けることにした。 いつ何を解体したのかも忘れてしまったくらい古い角材が、隅に7、8本積んである。それに付いたままになっているL字金具を取り、釘を引っこ抜いてから、ノコで適当な大きさに切って可燃物の…

『現代アートの本当の学び方』刊行のお知らせ

現代アートの本当の学び方 (Next Creator Book)作者: 会田誠,荒木慎也,大野左紀子,苅宿俊文,暮沢剛巳,谷口幹也,土屋誠一,筒井宏樹,成相肇,橋本誠,日比野克彦,福住廉,三脇康生,村田真,山木朝彦,川崎昌平,フィルムアート社編集部出版社/メーカー: フィルムアー…

一人と一匹、たまに二人

午前中、買い物から帰ってくると、「やっぱり今日行く」と、落ち着かなそうに夫が言った。 「え、今日? 明日じゃなかったの」「うん、明日雨降るって言うし。これから発てば夕方には着くだろ」 見ると、リビングの隅に置いてあった手荷物はもう愛車に積んだ…

子犬を交通事故に遭わせてしまった話

その朝も愛犬の散歩をさせようと玄関先に出て、抱いていた犬をひょいと地面に降ろした。 なぜその時に限って、降ろしてからリードをつけようと思ったのか。まだ散歩に完全には慣れていない3ヶ月の子犬である。一旦道に出て歩き出すまでは、リードを少し引い…

インベカヲリ★さんとの対談がWEBスナイパーに掲載されました

写真集『やっぱ月帰るわ、私。』(赤々舎)発売記念 インベカヲリ★×大野左紀子 特別対談!! - WEBスナイパー 12月に行われた写真家・インベカヲリ★さんとの対談が、ようやく記事になりました。 内容は、昨年出たデビュー写真集『やっぱ月帰るわ、私。』(拙ブ…

高学歴女子が新・専業主婦を目指す時代

かつて斎藤美奈子は『モダンガール論』の中でこう言った。「女の子には出世の道が二つある。立派な職業人になることと、立派な家庭人になること。職業的な達成(労働市場で自分を高く売ること)と家庭的な幸福(結婚市場で自分を高く売ること)は、女性の場…

無宗教で弔うこと

国や地域や宗教によって、さまざまなかたちを取るお葬式。日本では仏教形式で行われることが多い。これまで私が参列した葬儀は9割方、仏式だった。あとはキリスト教。亡き伯父と伯母がクリスチャンだったからだが、では仏式で弔われた人々は皆仏教徒だった…

新書『高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?』発売のお知らせ

以前にお知らせした新書が、18日(火) 発売になります(北海道、九州は19日)。 監修は『高学歴ワーキングプア フリーター生産工場としての大学院』(光文社新書、2007)の著者の水月昭道。著者は大理奈穂子、栗田隆子、大野左紀子、水月昭道。『高学歴ワーキ…

イージーリスニングの虜、アーティストの麻薬

佐村河内騒動で考える:松浦晋也のL/D 例の「交響曲第1番」の感想、NHKの「お涙頂戴」番組作り、新垣隆氏の仕事など論じられていることが幾つかのテーマに渡る長いエントリだが、終わりの方に書かれていたことについて思ったことをメモ。 現代音楽の売れな…

作曲家の”嘘”と視聴者の期待

聴覚障害の作曲家 別人が作曲 NHKニュース 人生中途で耳が聴こえなくなった作曲家が障害と闘いながら交響曲などを書き、CDを18万枚も売り上げ、NHKスペシャルでも感動の涙を絞っていたらしい。ところが実は耳の状態悪化で、十数年前から別の人に構想を伝えて…

気持ちだけ山の手

東京から転勤などで名古屋に来た人は、市内の東の方に住みたがるという。地下鉄の駅でいうと覚王山、本山、自由が丘、八事、東山公園、星ヶ丘、一社といったあたりだ。交通の便が良く、緑もあり、買い物にも便利で、オシャレな店も多い。通りから一歩中に入…

犬との関係

義両親宅には11歳になるチワワがいる。この犬は私にもよく慣れていて、行くと興奮して飛びついてきて離れない。そんな時、義母は「ほらハッピー、おねえちゃんが困ってるよ」などと言う。「今日はおにいちゃんとおねえちゃんが来てくれて、嬉しいねぇ」。夫…

野蛮な食べ方

30歳を過ぎるまで、カラスミというものを食べたことがなかった。そういう珍味が世の中にあることも知らなかった。 結婚して数年経った頃、お歳暮かなんかで九州の人からカラスミを頂いた。 「なにこれ」 「カラスミ。ボラの卵巣を塩漬けにしたやつ。食ったこ…