2017-01-01から1年間の記事一覧

人はなぜ女の子の絵を描くのか・・・『絵を描く人々』更新

絵を描く人々 第12回 日本・お絵描き・女の子 - WEBスナイパー(18禁サイト) マンガ・アニメやイラストから現代絵画に至るまで、今ほど女の子の絵が盛んに描かれ、見られている時代はないのではないか‥‥‥この十年近くずっと抱いているそんな印象から書き起…

ダブルヒロインの華麗な弁証法‥‥韓国映画『お嬢さん』感想

(C)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED 原作『荊の城』(サラ・ウォーターズ)を太平洋戦争前夜の朝鮮に移し替えた設定の大胆さや、エログロ、フェティッシュの様式美や、二人の女優のベッドシーンの「過激さ」(R18指定)や…

近代文学が終わった後の『文豪とアルケミスト』

文豪とアルケミストと小林多喜二と日本共産党 - Togetterまとめ 『文豪とアルケミスト』というオンラインゲームで、近代文学の小説家(が現代に転生したもの)がキャラとして多数登場している中に小林多喜二も含まれており、それについて新聞『赤旗』が好意…

前衛、野グソ、「先験的廃業」

またセルフTogetterです。7日から一週間ほど、集中的にアート関連のtweetをしたので、抜粋の上まとめておきます。(※参照)はここで追記。 3月7日 本来は(いい意味での)アート未満のものやことが、アートとして位置付けられたとたんにつまらなく見えてくる現…

犬について

少し前に、自分の飼い犬について呟いたものをまとめておく(誤字だけ訂正)。 3月8日 飼い犬が外で甘えた声で鳴いている。犬を室内で飼う習慣はないので玄関の外。柴のミックスで寒さに強い。夏の猛暑の際は玄関に入れてやる。まだ3歳で甘えたい盛り。朝夕…

美術をインストールされた受動体としての作家/梅津庸一「未遂の花粉」とシンポジウム「前衛、近代、コミュニティの再設定」感想

昨日、愛知県立美術館で開催中の梅津庸一展と、関連して行われたシンポジウムに行ってきた。その時感じたことなどをつらつらと。長いし結論はない。 梅津庸一については、黒田清輝の大作『智・感・情』を自らのヌードに置き換えて点描画法で描いた作品で話題…

連載エッセイ「絵を描く人々」更新されました。

絵を描く人々 第11回 絵を描くおばあさん - WEBスナイパー 「絵を描くこと」と「老い」の関係について考察しました。20代、30代ではほとんど考えなかったことです。「老い」そのものをリアルに考えられなかったから。 きっかけは、父が認知症になり介護施設…

書評のお知らせ

2013年に出た『女の数だけ武器がある。たたかえ!ブス魂』(ペヤンヌマキ著)という本が、書き下ろしコラム5本に雨宮まみのテキストを加えて、この間文庫化されました。その書評を、WEBスナイパー(18禁サイト*1)に書いてます。 女の武器は言葉だ/『女の…

永遠のうさこちゃん

ディック・ブルーナさん死去 89歳「ミッフィー」作家 1959年生まれの私は「うさこちゃん」世代です。シリーズで初めて読んだ絵本は「うさこちゃんとうみ」。今は「ミッフィー」世代の姪のところにあります。 タオルケースはいつも講義の時、手を拭くハンドタ…

ちくさ正文館と喫茶モノコト

昨日、久しぶりに、ちくさ正文館に行った。 名古屋では有名な人文系老舗書店。昔、近くの河合塾美術研究所で働いていた頃、しょっちゅう通っていた。歴史・思想・哲学・芸術系が充実していて、棚を眺めているだけで楽しく、長時間入り浸っていた。知的刺激を…

戸川純の新曲に見え隠れする「天皇」のイメージ

わたしが鳴こうホトトギスアーティスト: 戸川純 with Vampillia出版社/メーカー: Virgin Babylon Records発売日: 2016/12/14メディア: CDこの商品を含むブログ (5件) を見る 去年発表された戸川純の35周年記念アルバムを、ずっと聴いている。ネット上のイン…

朝日新聞のコラム「百聞より一見」

東海ローカルな話です。 一昨年の5月から、朝日新聞東海版文化面のコラム「百聞より一見」(毎水曜朝刊)に、一ヶ月か一ヶ月半に一回の割合で展覧会コラムを書いています。 今日の紙面では、名古屋市美術館常設展示室3で開催中の、河村るみ「介(かい)- …

58歳の礼装デビュー、そのホラーでコメディな舞台裏

先週、名古屋市市庁舎で名古屋市芸術賞の授賞式があった。 お祝い下さった皆さま、改めてありがとうございました。 ここではその式の模様ではなく、その前に「何を着ていくか」でドタバタした話を。 美容師の親友に受賞を報告した時、「受賞式ではきもの着な…

連載「絵を描く人々」で『この世界の片隅に』について書きました

WEBスナイパー(18禁)の連載エッセイ「絵を描く人々」、更新されました。 絵を描く人々 第10回 描くことの光と闇 ダークサイド(暗黒面)とライトサイド(光明面)は、ジェダイの騎士だけが直面するものではありません。それは表現行為につきまとい、しかも容…

隣のジェントルマンと日本的ヒューマニズム

今期最後の講義が終わり、京都駅から上りの新幹線に乗った。窓際のA席に座る。 B席は空席でC席に、大きなガタイをダークスーツに包み、ヘッドフォンをしたスキンヘッドの白人男性がいた。なんとなくスパイ映画に出てくる敵役の警護担当みたいな外見(想像力…

きものとジェンダー論

去年の秋からこの1月にかけては、機会を見つけてそれまでになくよくきものを着た。きもの歴はやっと二年。 先日は亡くなった義母から譲り受けた江戸小紋を着て、久しぶりにあるギャラリーのオープニングに行った。人が多く、皆お喋りしているので、旧知の人…

名古屋市芸術奨励賞を頂きました

このたび、平成28年度名古屋市芸術奨励賞を「美術(美術・映画評論)」で受賞しました。 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000066433.html 先月半ば頃に市の担当者の方から電話でお知らせを頂きましたが、正直全然ピンとこず、なんで私が?…

アヒルと非常事態・・・“I will fly” 竹内孝和展を観て

間口の狭いガラス越しに、奥の白い壁にカラフルな色彩が糸を引いているのが目を捉える。中に入ると、8畳ほどの小さな縦長の空間の床には緑の人工芝が敷き詰められ、人の通れるくらいの通路を残して三分の二ほどが低い柵で囲われている。画廊の人の座ってい…

「絵が描けるといい仕事」って何だろう(連載エッセイ更新)

WEBスナイパー(18禁)に連載中の「絵を描く人々」、今回は「絵が描けるといい仕事」です。 絵を描く人々 第9回 絵が描けるといい仕事 美術を志した14歳の頃、将来好きな絵を描いて暮らしていけたらいいなぁ‥‥とのんびり考えていました。5年後、芸術大学に進…