映画

高畑淳子、そして母が息子に足を掬われること

女優・高畑淳子の息子で俳優の高畑裕太の起こした強姦致傷事件に関して、「親の責任はどこまで問われるのか」という話が連日メディアに出ている。 私には子どもがいないので、年頃の子どものいる友人たちに聞いてみると、異口同音に「22で世間では大人だと言…

映画レビュー『親子でもなく姉妹でもなく』第七回がアップされています

サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー、今回は、新潟の造り酒屋を舞台にした宮尾登美子の小説が原作の『藏』(降旗康雄監督、1995)です。 「文化」という階級が女を苦しめる? 『藏』に見る、女たちが手を取り合う困難さ 母親を失い盲目となった蔵元の一…

映画レビュー更新。ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアスのあれです。

サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー『親子でもなく姉妹でもなく』第6回、アップされています。 年上女が小娘に負けるのは「若さ」ではない――『ベスト・フレンズ・ウェディング』に見る解 『ベスト・フレンズ・ウェディング』(P.J.ホーガン監督、1997…

映画レビュー第五回は『危険な関係』

サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー『親子でもなく姉妹でもなく』第五回、アップされています。 愛人に復讐する女×世間知らずの若い女――『危険な関係』に見る、女の黒い感情の終末 噂と虚飾に満ちた社交界で、人間関係をコントロールし己の復讐心と嫉妬…

「親子でもなく姉妹でもなく」第四回のお知らせ

サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー、第四回は『祇園囃子』(溝口健二監督、1953)。 祇園の芸者×舞妓志願の若い娘――『祇園囃子』に見る、「男の世界」に独りで生きる女の見栄 「男の世界」に寄生するかたちで成立している、「女の世界」花柳界での残酷…

映画レビュー「親子でもなく姉妹でもなく」、第三回がアップされています。

他人同士の歳の離れた女性を描いた映画を通して、女性たちの関係性について考えるこのシリーズ、今回はサマンサ・ラングというロンドン出身の女性監督の撮った1997年の映画『女と女と井戸の中』を取り上げました。 表題の井戸をはじめ、いろいろと見る者の”…

サイゾーウーマンのコラム、更新されました。

サイゾーウーマンで連載中の映画レビュー「親子でもなく姉妹でもなく」第二回がアップされています。 自分の“正しさ”へ導く女×拒む若い女――女の上下関係から見る『モナリザ・スマイル』 今回取り上げているのは『モナリザ・スマイル』(マイク・ニューウェル…

安定、崩壊、充実、空洞(Twitterメモ)

書籍公式Twitterに連続tweetしたのを、映画関連メモとしてまとめておく。 非常に大雑把に言って、「安定から崩壊へと至る映画」と「崩壊から再生へと至る映画」がある。後者には崩壊が予め含まれているか次第に露になる。家族関係、社会秩序や制度の崩壊。そ…

連載「親子でもなく姉妹でもなく」のお知らせ

サイゾーウーマンのコラムページで、新連載の映画レビュー「親子でもなく姉妹でもなく」が始まりました。 WEBスナイパーでの以前の連載「あなたたちはあちら、わたしはこちら」(現在書籍になってます)の続編のような感じです。テーマは、やや年齢の離れた…

真魚八重子さんと対談しました。

先月出ました拙書『あなたたちはあちら、わたしはこちら』の公式サイトでの、対談企画第一弾。 お相手は、ネットで連載中から話題だった『映画系女子がゆく!』を一昨年出され、『映画秘宝』や『キネマ旬報』など多数の媒体でご活躍中の真魚八重子さんです。…

『電信柱エレミの恋』と『ローマの休日』、欲望と責任の問題

今期から京都造形芸術大学のアート・プロデュース学科の学生対象に、「観る・読み解く・書く」というテーマの講義をやっている。この数週間は、中田秀人監督の短編ストップモーションアニメ『オートマミー』(2000)と、同監督の中編『電信柱エレミの恋』(2…

新刊の特設ページで試し読みができます。

新刊『あなたたちはあちら、わたしはこちら』の特設ページができました。 あなたたちはあちら、わたしはこちら - 大野左紀子/大洋図書 内容紹介や口絵、著者情報の他、試し読みのページ(Sample)、ご意見、ご感想のページ(Contact)があります。 試し読み…

『あなたたちはあちら、わたしはこちら』刊行のお知らせ

2006年に初めての本を出してから5冊目の単著になる映画エッセイ『あなたたちはあちら、わたしはこちら』が、大洋図書から刊行されます。 30代後半から80歳過ぎまで、中年以上の女性が主人公となっている映画12本を取り上げ、その心情を掘り下げて考察したも…

原節子についてのあれこれ

原節子が95歳で亡くなったというニュースが報じられた一昨日、ちょうど読んでいたのが、小津安二郎の『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』の中の原節子に言及されたところだったので、偶然とは言え驚いた。正確には『映画狂時代』(壇ふみ編、新潮文庫…

アクション・コメディ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

マッドマックスシリーズはだいたい血と砂と鉄とスピードを味わう映画だと思っているのだけど、「怒りのデス・ロード」はそれが今まで以上のスケールとハイテンションで描かれあらゆるシーンが決まり過ぎなほど美しく決まり(オレンジと青が目に焼きつく。あ…

連載最後は「わがままな女」、ジャンヌ・モローです。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の最終回がアップされています。 2012年公開のフランス映画『クロワッサンで朝食を』(原題:Une Estonienne à Paris)を取り上げました。 クロワッサンで朝食を [DVD]…

連載更新。「病む女」をテーマにミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第十一回がアップされています。 ピアニスト [DVD]出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ発売日: 2003/12/05メディア: DVD クリック: 55回この商品を含むブログ (46…

階級とジェンダー規範の壁を踊って越えていく少年・・・「ビリー・エリオット」を観て

名古屋でも先週末から公開になった『ビリー・エリオット ミュージカル・ライブ』を観てきた。 2001年の映画『リトル・ダンサー』のミュージカル版で、監督も同じくスティーブン・ダルドリー。感動しました。3回ほど涙腺崩壊。 オフィシャルサイト 80年代半…

映画エッセイ更新。『疑惑』に見る「正しい女」。

WEBスナイパー(18禁)に連載中のエッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」第十回が更新されました。 今回は、野村芳太郎監督の『疑惑』(1982)。今更言うまでもない傑作でございます。 疑惑 [DVD]出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ発売日: 2005/12…

WEB連載更新。「承認」を捨てる女。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」が、更新されました。 今回は、2002年のアメリカ映画『めぐりあう時間たち』(スティーブン・ダルドリー監督)を取り上げています。 めぐりあう時間たち [DVD]出版…

WEB連載更新。カウリスマキ監督の『浮き雲』。

WEBスナイパー(18禁)に連載の映画エッセイ、更新されました。 「あなたたちはあちら、わたしはこちら」第八回 寡黙な女 今月半ばに亡くなった高倉健は日本独特の無口なヒーロー像を確立した俳優でしたが、無口且つ普通の人を描いて右に出る者のいない監督…

WEB連載、更新されました。イラストは一挙に三人登場。

WEBスナイパー(18禁)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第七回 闘う女がアップされています。 映画の中では、たくさんの女性が実にいろいろなものと闘っています。その多くは強大な力、端的に言えば「男」なるもの。「男」の世…

WEB連載、更新されました。テーマは「優しい女」。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第六回がアップされています。今回は邦画です。 前半で取り上げたのは、『流れる』(成瀬巳喜男監督、1956)。芸者置屋の女たちの表と裏を描いた文句なしの傑作…

『舞妓はレディ』を観てきたんどす。

んー、そうどすなぁえ。周防監督ん久々んエンターティメントちゅうことで、期待し過ぎたんかもしれまへん。面白おへんどしたちゅうわけおへんどすけど、昔『Shall we ダンス?』や『シコふんじゃった。』を観た時ん笑いや感動には、残念もって届きまへんど…

夢見られた親密圏・・・『小さいおうち』感想

今年1月から2月にかけて公開されていた『小さいおうち』をDVDで。原作は未読。小さいおうち [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2014/08/08メディア: DVDこの商品を含むブログ (29件) を見る 「寅さん」シリーズのイメージが強いせいか、ほっこり系エンタ…

WEB連載更新されました。「恋する女」。絵はキャサリン・ヘップバーンです。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の、映画に描かれた中年以上の女性を取り上げるシリーズ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」、第五回がアップされています。今回のテーマは恋愛。 中年女の恋愛ドラマというと、日本では一時期「失楽園」的不倫ものば…

WEB連載、更新されました。ティルダ・スウィントンwithエズラ・ミラーです。

WEBスナイパー(18禁)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第四回が更新されました。ティルダ・スウィントンとエズラ・ミラーが親子を演じた異色作『少年は残酷な弓を射る』(リン・ラムジー監督、2011年)を取り上げています。…

男への恨みと母性愛と「世界は私たちのもの」‥‥『マレフィセント』感想

ジブリの『思い出のマーニー』が今日から公開で、これから次々レビューが出て盛り上がろうとしているこのタイミングだが、あんまり盛り上がってない(気がする)『マレフィセント』の感想を。 三ヶ月前、「アナ雪」の感想記事の追記に書いたこと。 ついに悪…

WEB連載、更新されました。今回は「踏み台にされる女」。

映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第三回がアップされました*1。 今回は、往年のハリウッド映画の傑作中の傑作、『イヴの総て』(1950)。個人的に私のAll time best 10のうちの一本です。未見の方は是非とも!! テキストを読んでから観…

『愛のお荷物』に見る「危機」と「幸福」のずれ

近所のレンタルショップに川島雄三作品を少し置くようになった(今までは『幕末太陽傳』のみ)ので、未見の『愛のお荷物』(1955)を借りる。川島監督が松竹から日活に行って初めて撮ったもの。配役がめちゃくちゃ豪華。「愛のお荷物」とは生まれてくる子供…