ファッション

犬の帯

急性気管支炎をこじらせつつ仕事に追われ怒濤のように過ぎていった一月が終わって、気づいたら57歳になっていた。 特別の感慨もないが、例年になく大変だった一ヶ月を乗り切った祝いに、自分に帯をプレゼントした。犬の図柄に一目惚れ。 57歳にもなってこん…

元祖・黒髪白シャツ男

漫画家の東村アキコがネットに発表している『ヒモザイル』が話題になっている。アシスタントへのセクハラ、パワハラとの批判も出ているが、ここで書きたいのはそういうことの是非ではなく、第二回で登場する「これが大人の女が好む「抜け感男子」だ!!!」とい…

「日本」で「おもてなし」で目立つ万人向きの制服は‥‥

ダサ過ぎ? 東京五輪「おもてなし制服」、ネットで酷評 私も一見して「これは‥‥なんだかな」と思ってしまい、こんなブコメをつけた。 ohnosakiko この帽子にベストはどっちか言うとスイスのイメージ。それを払拭するための過剰な日の丸。気合い入り過ぎ/い…

「童貞を殺す服」雑感

この数年、仕事先の地方の芸術大学でよく見かけるファッション。美術学部でも音楽学部でも見られる。 (微妙にデッサン狂ってる。左の人が多い印象) パステルカラーでパフスリーブのシフォンみたいなブラウス、薄くてヒラヒラしたミニスカート、長めフレア…

『CLASSY.』5月号で大々的に復活していたバブルスタイル

『CLASSY.』は「シャツの襟を立てるカースト上位文化」に属する雑誌である。私にとっては世代はもちろん、文化的にも接点のないファッション誌。数年前にたまたま光文社から一冊本を出したことがあったが、そこのJJ系列女性雑誌とはほぼ無縁。 が、たまには…

ブルージーンズの位相

久しぶりにアキ・カウリスマキのDVDを借りてきて観た。『ル・アーヴルの靴磨き』(2012)。安定のカウリスマキ節を堪能。ル・アーヴルの靴みがき 【Blu-ray】出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2013/01/16メディア: Blu-ray クリック: 2回この商品を含む…

白い水玉模様の赤いワンピースの女

「赤を着る歳になったねぇ、あなたも」と、友人がからかい気味に言った。 その日私は購入したばかりの、白の細かい変形水玉模様の赤いブラウスを着ていた。襟ぐりはやや大きめにVに開いていて、ドルマンスリーブの袖口とウエストがシャーリングになっている…

オリーブ少女と森ガール、または「思想」(トンガリ)から「生活」(まったり)へ

「森ガール」を巡るネット議論 少し前に話題になっていて、とても興味深かった。以下、出てきた順に。 中川大地「「森ガール」にできること〜「少女」から「女子」への変遷の中で」 - ビジスタニュース議論の発火点で、わりとざっくりまとめた感じの記事。そ…

ウエストのおはなし

もうウェストのデフレはやめよう - AnonymousDiary 女性のウエストサイズが公称60センチだったり58センチだったりするのに疑問を抱いた男性が、約2年かけて10人近い風俗嬢のウエストを計測した結果、60センチの人は一人しかおらず、それも「ガリガリといっ…

美しい人

こないだの土曜日、Aさんと久しぶりに会った。Aさんは昔私の作品をお買い上げ下さっていて、そのポリウレタンの部分が劣化してしまったので、修復するために長い間預かっていた。やっとそれが終わり渡すついでに、お昼でも食べましょうかということで。 Aさ…

「男の子っぽい女の子」になりたい男の子

久しぶりにヘア・サロンに行ってきた。 大方の女性にとってそうだと思うが、美容室は非日常的癒しを買う場所である。若いイケメン美容師が「大野さま、いらっしゃいませ」と出迎えてくれる。若いイケメン美容師が回転椅子を回して座らせてくれ、黙っていても…

自分の顔はどこにある

実名でブログを書いていると、名前を検索されることがある。今日、学生に「先生の名前でググって、写真を見つけた」と言われた。ドキ!! 顔写真はどこにも出てないはずだが。「なんかエプロンしてて伏せ目の」‥‥あっ、あれか! あんなのよく見つけ出したな。…

弱者を救う「押しつけ」

昔から管理教育で悪評高い愛知県だが、私のいた高校は県下ではリベラルな校風で知られていた。60年代末に制服自由化運動が生徒から巻き起こり、すったもんだの末、制服廃止にまでは至らなかったが、自治会は私服通学黙認を学校側から勝ち取った。 制服反対派…

ピンク・ピンク・ピンク

だってかわいいもん 以前、短大の保育科で図画工作の実技授業を数年受け持っていたことがあった。保育士や幼稚園の先生になる人に、指導案を立てさせさまざまな課題をやらせながら、現場でどういう手ほどきをしたらいいかアドバイスする授業である。 私は保…

可愛い服に凹まされた日

考えてみたら去年の秋くらいから、服というものを一枚も買っていなかった。毎シーズン新しい服を新調するわけではないが、それにしても随分その手の買い物とは無縁だ。 私は物持ちがいいので、この歳になると着る服に困るということはない。五年前に買ったパ…

女の「男ウケより女ウケ」をめぐって

プロの仕事評価 はてな匿名ダイアリーにて、「女のファッションと男ウケがどうのこうの」という反応があったので、それについて。 まず、なぜこの意見が匿名ダイアリーに書かれるのか、コメント欄というものがあるのになあ‥‥と単純に思うわけだが、誤読され…

すべてのオシャレは男ウケである

同性ウケにおける無意識としての異性ウケ とりあえず言い切ってみてから考察を始めようというわけで、女性にdisられそうなタイトルをつけてみた。最近あちこちで散見したファッションの話題について。 pal-9999氏の主にこちらの記事の中の「女性のオシャレや…

ケモノの季節

触ってもいいわよ 涼しくなってきたので、そろそろケモノの季節である。ケモノが街に出て来る。 ケモノは大抵メスで、オスをおびき寄せて食うのである。ケモノと見ると、フラフラと吸い寄せられていくオスもいる。オスのケダモノに捕獲されるのを待っている…

スーツへの視線

賛否両論 『メガネ男子』に続いて『スーツ男子』なんて本も出て、男子のビジュアルへの女子の嗜好が注目されるようになった昨今。 男のスーツ姿がいいというのは、かつて酒井順子も熱く語っていた。メガネもスーツもある種の拘束性や、型を感じさせる。型の…

「男は中身」じゃない

細眉男子 普通の男が眉を剃り始めたのはいつ頃からだったか忘れたが、98年の冬期長野オリンピックの時、ジャンプ団体で優勝した日本人チームの船木選手がしっかり手入れした細眉で、スポーツマンだが今時のおしゃれな男子とニュースで言われていたような気が…

コスプレの隙間

熊本のミック・ジャガー この数年、大人を対象にした音楽教室が増え、生徒は十万人を超える勢いだそうだ。中年のバンドブームのせいである。 アマチュア・バンドを組むオジさんは、30代後半から60代まで広範囲に渡るようだが、だいたい若い頃にバンドを組ん…

男子にはなれない ● 第七回 ● 肌の上の煩悩

肌見せと肌隠し 夏になると、女性は肌を露出する。女性といってもどちらかといえば若い女子。 私の行っている専門学校や大学でも、上はキャミソールやタンクトップ一枚という女の子が目につき出した。露出し始めの頃は皆まだ陽に焼けていないナマっちろい肌…

タンスの中の懊悩

捨てられない病 衣替えの季節である。 半年以上しまってあった夏物衣類を、衣装箱の奥から発掘する。まさに発掘するというに相応しい行為。物持ちがいいので、いつのまにかかなりの衣装持ちになってしまった。自分でもどれだけあるのか把握できてない。 高校…

ワンダの百枚のきもの

女の子のファンタジー 子供の頃に読んで気に入った本を、大人になってもたまに開くということが私はあるが、何十年も忘れていてふと思い出して読み返し、「ああこういう話だったのか」と改めて思うこともある。 「岩波こどもの本」の一冊として昔出版された…

上下関係の秘密

ピーコの”暴言” 平日の昼間に家にいる時になんとなく見てしまうのが、TBSのワイドショー「ジャスト」である。最近では週に2回は、三雲孝江の福々しいほっぺと安住紳一郎の泣きそうな顔を見ないと、物足りない。 中でも私がよく見るのは、「辛口ピーコのファ…

叶姉妹からフェミニストまで

服装の悩み 後期の授業が始まったが、私は少し憂鬱である。 授業準備ができていないとか、働きたくないということではない。「痩せなかった」からである。もう一ヶ月も前から、そろそろ痩せないとまずいと思っていたにも関わらず。 夏の間、特にスポーツもせ…

和もの流行り

アジアンブームの終着点 この間、宮田さんからシックな花柄のチャイナ風ブラウスのお下がりを頂いただけで、一週間幸せな気分になっている貧乏な私である。 もちろんそこらのアジアン雑貨に売っているような安いしろものではなく、インゲボルグ。日本人には…