2011-01-01から1年間の記事一覧

天井歩き

小学生の頃、よくした家の中の遊びの一つに、「天井歩き」というのがあった。 直径が30センチくらいの母の大きな手鏡を、顔のすぐ下、胸の少し上のあたりで鏡面を上にして持つ。自分の顔はなるべく映らないようにして、天井を映している鏡の中を見る。すると…

「ビギグギ」

三週間くらい前だったかもっと前だったか忘れたが、夫と喧嘩して殴った。 夫ではなく自分を。 夫と私が地元でつきあっている数少ない友人に、少し年上のTと同世代のMがいる。Tの店で私たちはよく顔を合わせる。TもMも独身で、年末年始に家に泊まりに来たりす…

「他者の承認」の外へ - 『めぐりあう時間たち』再見

「言葉たち」とか「思い出たち」とか生き物でないものに「たち」を付けるのを気持ち悪く感じるので、この映画のタイトル(原題は『The Hours』)はゾッとしなかったし、モチーフになっているヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』も未読だったのだが、友…

男性のオウチ進出 - 『喜婚男と避婚男』を読む

喜婚男と避婚男 (新潮新書)作者: ツノダ姉妹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 124回この商品を含むブログ (7件) を見る オビの文句は「愛を叫ぶか、愛を避けるか。バブル世代のマーケッター姉妹が「男×オウチ」の…

半ズボン要求のためのスカート着用の政治的効果

校則に抗議するためスカートをはいて登校したイギリスの美少年 - GIGAZINE 女性は女装も男装も可能だが、一般的に男性は男の格好しかできない/しないことが多い。そして学校や軍隊の制服はジェンダー規範に則った正装に準じるものだから、男子のボトムは大…

「太陽」をめぐって

昨日の記事の続き。 『生きものの記録』のラスト近く、三船敏郎が精神科病棟の窓から太陽を見上げ、「地球が燃えとる!‥‥おお燃えとる燃えとる!」と叫ぶ。自分は既に別の星に移住し、地球は原水爆実験によって火の玉になったと思い込んでいるのだ。また、『…

テレビで放映してほしい放射能恐怖映画

「原発映画」に関心が集まっているようだ。 ロングラン&拡大公開の放射能ドキュメンタリー映画、大反響の実態は? 放射性廃棄物をテーマにしたドキュメンタリー映画『100,0000年後の安全』。福島原発事故に際し、この秋公開の予定を急遽繰り上げたとか。東…

震災後、記事を消してまた上げるの記

■ 天変地異 ● 死ぬ時の覚悟 車で走行中のこと。前の車がみんな蛇行していくので何かと思ったら、道路に子猫が転がって、くるくると一所でのたうち回っていた。血は出ていないが、飛び出して車に跳ねられたのだろうと思う。内臓がどうにかなってしまっている…

「不公平」感のもたらすもの

『誰も「戦後」を覚えていない』(鴨下信一、文春新書、2005)の中に、「間借り」について書かれた興味深い章がある。 「不公平」こそが終戦直後の基調音 ぼくは戦後日本の、特に終戦直後の日本の基調音となったものの重要な一つは<不公平>という感覚だっ…

サバイバル犬とエスパー猫

災害時にペットをどうやって守るか、どんな形で一緒に避難するか、はぐれたらどうするか。 全国の愛犬家や愛猫家の人々と同じく、この震災で私もそのことを何度か考えた。 と言っても、首輪に名札をつける(名前と私の連絡先)とか、5日分くらいの餌と水と…

魔法の髪の処女 - 『塔の上のラプンツェル』

©Disney Enterprises,Inc. 公開中の『塔の上のラプンツェル』(原題:Tangled) を観てきた。(以下ネタばれあり) ディズニーアニメ50作目、初の3D作品。母親に束縛されていた女の子の自立の物語。 「母」を裏切ることへの罪悪感と、外の世界への強い憧れの間…

1967年の「みらいへのけんせつ」

放射性物質にさらされた世代 - 続・たそがれ日記 ブックマークコメントで「そう言えば雨に濡れるとハゲると言われた」といったコメントが散見されたが、これ「酸性雨」のつもりで書いている人も混じってないかな?とふと思った。「放射性物質を含有する雨」…

あらしが来るとは誰も思っていなかった ---- ドラ・ド・ヨング『あらしの前/あらしのあと』

『あらしの前/あらしのあと』(岩波少年少女文学全集、1961、吉野源三郎訳)を、久しぶりに再読した。 著者のドラ・ド・ヨングはオランダ人女性だが、「あらしの前」(原題:THE LEVEL LAND)は1950年にアメリカで出版されて好評を得、その7年後に「あらし…

使われる物なのに使えない物

薄くて、ふんわり軽くて、柔らかくて、うっとりするほどきれいで、繊細で、丁寧に扱わないといけなくて、とてもいい匂いのするもの。しかもあっけなく捨てられる運命にあるもの。 バラの花びら以外にそんなものが世の中にあるとは、5歳までは思っていなかっ…

カンディンスキーの「あれ?」と地図をひっくり返した小学生

デザイン専門学校のデッサンの時間、幾何形態の形の狂いに気づかないで描いている学生に、「紙を横向きにしてみて」と言う。なんで?という顔をしながら画用紙をぐるっと90度回してみると、「あれ?」。なんか変。 形の間違いがそのままで発見できればそれに…

ソフトドリンク

「ビールもれっきとしたアルコール」ロシア政府がようやく認める - GIGAZINE これまでロシアではビールは「酒類」ではなく「食品」という扱いだったため、低価格で、スピリッツやワインなどの酒類と違い深夜でも露店でも販売することができ、広告の規制も厳…

変化

1年くらい前から妙に、音がよく聞こえるようになった。最初は夫とテレビを見ている時だった。音声がうるさく感じる。「もう少し音量絞って」と言うと変な顔をされた。 朝、ちょっとした外の物音で目が覚めてしまう。雀のさえずりが、ものすごく明瞭に聞き取…

後から発見されるもの

おおまかな内容を決め、骨組みを作り、最終地点を予測し、必要な情報などを揃え、それに沿って比較的スムースに書いてきた25、6枚の原稿があと数枚というところでピタッと止まってしまい、全然前に進まなくなった。諦めて数日、関係ない本などを読んだりして…

「寛容」という言葉

日本人が失ったのは「寛容」ではなく「身内」では? - シロクマの屑籠(汎適所属) 「昔の日本人が寛容だった」というのはあくまで「身内」に対してであり、かつてのような地域社会の密接な人間関係が崩壊した結果、「身内」と呼べるような相手がいなくなっ…

移動

店には駐車場がなく、ワンブロックぐるりと回って市営の駐車場に車を停めねばならなかった。そのブロックはごちゃごちゃと古いビルが立ち並ぶ中に小さい空き地や通路があり、そこを辿っていけば向こう側の店の近くに出られそうだったので、駐車場を出てから…

男と女の同性愛

今からもうかれこれ15年くらい前のことだが、『男と女の同性愛』という展覧会に参加したことがあった。企画者はアーティストの白井美穂さん*1 。東京、名古屋、京都方面のアーティスト7人ほどが参加し、東京の佐賀町bisと京都のギャラリーTAFで、連続個展形…

<男×女>という思い込み

世界の雑記帳:「女性同士の浮気なら許す」、男子学生の半数=米調査 - 毎日jp(毎日新聞) 1月27日、米国の男子学生の半数は、彼女が浮気をしても浮気相手が女性ならば許すという調査結果が明らかに。写真は19日、米ロサンゼルスで撮影(2011年 ロイ…

母なるものに覆われゆく社会 - 『トイレの神様」に感動し「タイガーマスク運動」に癒される

トイレの神様が大嫌いな奥様 この「トイレ」を連呼する曲の何がそんなにいいんだ?と首を傾げていてYouTubeに付いた絶賛コメントを見て仰天したのが半年ほど前だったが、当然アンチもいるわけで、上の2ちゃんスレには、小学生の作文で感動押し売り、老人受…

フェミニズムは学問か運動か、研究か宗教か

数日前、コメント欄でフェミニズムの話になった。なかなか議論喚起的な内容だと思うので再掲したい。ただかなり長いので、申し訳ないが脂さんの発言はかなり刈り込ませてもらった(同じことの言い換えになっている部分や後半の若干ヒートアップしている部分…

でき婚の失敗と「オイディプスの復権」

先日の記事女の子の欲しいもののコメント欄から抜粋。 脂 2011/01/05 03:17 このケースはむしろ「その男が過剰に「理想的な家庭」みたいな妄想を抱いていた可能性」も考えた方がいいな。 妄想と現実のギャップに対する防衛。現実に対し妄想を付加させ、他者…

女の子の欲しいもの

夫が職場の人から聞いてきた話。 最近、高校3年や大学4年で妊娠する女の子が増えているそうだ。その人の近所にも数人そういう娘がいて、他でもそんな話をポツポツ聞くという。 高校や大学の最終学年というと就活まっただ中の人が多い。しかしその女の子た…