アートをめぐる権力関係と搾取‥‥『ビッグ・アイズ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」、第12回がアップされています。今回取り上げた映画は、実話を描いたティム・バートン監督『ビッグ・アイズ』(2014)。アラーキーのモデルだったKaoRiさんの告発の件を枕に書き起こ…

妊娠・出産・子育て映画のリアリティ、『理想の出産』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」、第11回がアップされています。 妊娠、出産、子育て 翻弄される心身とパートナー関係の行方 | ForbesJAPAN 今回は、実話を元にした2012年のフランス映画『理想の出産』(原題はUN H…

『紙の月』の主人公と総理夫人の共通点について考えた(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム第10回、今回は宮沢りえ主演でかなり話題になった『紙の月』(吉田大八監督、2014)を取り上げました。 森友問題で渦中の人である総理夫人、安倍昭恵氏についての短い考察を冒頭に置いています。 「ありが…

ピカピカの青春映画の中の大人の女たち・・・『ローラーガールズ・ダイアリー』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」、第9回が公開されています。 闘いながら少女を先頭へと押し上げる、タフな女たちの気概 | ForbesJAPAN ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオ…

自分のためだけに生きるか他人と共に生きるかを問う『マーサの幸せレシピ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」、第八回が公開されています。 完璧主義で人間嫌いな女性シェフが、試行錯誤の果てに見つけた人生 | ForbesJAPAN マーサの幸せレシピ [DVD]出版社/メーカー: 東芝デジタルフロ…

ケイト・ブランシェットの「手負いの雌ライオン」ぶりに胸がシクシクとなる『ニュースの真相』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第7回が公開されてます。 真実とデマの間で抗った女性ジャーナリストの最後のプライド | ForbesJAPAN 今回取り上げたのは、2016年のアメリカ映画『ニュースの真相』。2004年の米大統領…

キャリア優先の娘と専業主婦の母の葛藤を描いた『母の眠り』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第6回が公開されてます。 今回取り上げたのは、1998年のアメリカ映画『母の眠り』。メリル・ストリープとレニー・ゼルウィガーが親子を演じています。 介護と離職、葛藤を通じて見直さ…

仕事と生活ののっぴきならなさを描いた『サンドラの週末』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第6回、更新されました。 今回取り上げたのはベルギー・フランス・イタリア合作映画『サンドラの週末』(2014)。マリオン・コティヤールがアカデミー賞主演女優賞にノミネート、他数々…

レズビアン・カップルの闘いを描いた『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(連載コラム更新のお知らせ)

時事的話題に絡めて現代女性の姿を映画からピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」(ForbesJAPAN)、更新されました。実話が元になっている作品、『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(2015、ピーター・ソレット監督)を取り上げていま…

『マダム・イン・ニューヨーク』に見る主婦の学び(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

時事的話題に絡めて現代女性の姿を映画からピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」(ForbesJAPAN)第三回がアップされています。 「学べなかった女」を勇気付ける、自尊心回復のストーリー | ForbesJAPAN 「学び」をテーマに、最近のインド…

今改めて観る『告発の行方』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

時事的話題に絡めて現代女性の姿を映画からピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」(ForbesJAPAN)第二回がアップされています。 世界に広がる「MeToo」、映画から考える性暴力への「あるべき救済の姿」とは*1 今回取り上げたのは、『告発…

「シネマの女は最後に微笑む」/Forbes JAPAN新連載のお知らせ

今月より、Forbes JAPANで映画コラムの連載が始まりました。題して「シネマの女は最後に微笑む」。 就業や転職、少子・晩婚化、教育、医療・介護、性差別問題など、現代女性が体験するテーマを映画作品の中から抽出し、時事的話題に絡めて紹介していきます。…

きもののボンデージ性とは

週一平均できものを着始めて2年と9ヶ月。きものの持つ拘束感にはまっている大野です、こんばんは。 ボンデージ(拘束)のコスチュームはいろいろありますが、全身を締め付ける特殊なものを除くと、基本的に洋装下着が原型になっていますよね。ブラジャー、…

「不気味なもの」の現れる瞬間を・・・「絵を描く人々」更新のお知らせ

一年半に渡って連載してきました「絵を描く人々」、最終回です。 絵を描く人々 最終回 美しいもの、不思議なもの、不気味なもの - WEBスナイパー*1 単純に「美しいもの」を絵の中に求め、やがて「不思議なもの」に惹かれ、その中で「不気味なもの」に出会う…

「美」とルッキズムをめぐるメモ

もうほとんどの人が忘れたと思われる宮崎県日向市のCMへの「ルッキズム」観点からの批判、ルッキズムに囚われがちな一人として悩ましい部分があった。 たとえば、スマートな人の外見が(そうでない人より)好みだということと、それを一般化して語ることとは…

太陽フレアのせいで

太陽フレアのせいで犬が日本語を喋り出した。 虫の話し声も聞こえてくる。 自分が聞いたことのない言語で喋っているのを聞く。 という朝が来たら素敵だったな。 太陽フレアのせいでネット上の すべての論争がどうでもいい些事になり、 夕ご飯に何食べるかが…

構図とか余白とか、難しいと思いませんか‥‥連載「絵を描く人々」更新

絵を描く人々 第17回 構図と余白 - WEBスナイパー *1 絵を作る要素の中で、一番難しいのが構図だと私は思っています。小・中学生の頃は、白い画用紙を前にうーんと考え込んで手が動かなかったこと、色を大半塗ってしまってから「なんか違う‥‥」と思ったこと…

ジム・ジャームッシュ監督作品『パターソン』を観て

『パターソン』 Photo by MARY CYBULSKI ©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved. プロではなくても現在、たくさんの人が仕事をしながら絵を描き、バンドや劇団に参加し、詩歌や小説を書いている。 『パターソン』は、そんな名もなき芸術家たちの一人であろ…

温厚なクマと利発なリス‥‥中年夫婦の店に見る安定のパターン

私は普段外食はほとんどしないけれど、夫が単身赴任先から帰ってくると、一緒に行く近場の店が何軒かある。 いずれも中年の夫婦でやっている、カウンター中心のこじんまりした和食屋や居酒屋。値段はわりとリーズナブルで料理は普通に美味しく、何よりくつろ…

人は知らぬ間に差別者になり、事後的に反差別を選び直す - 2

※20日の記事に追記したら、なぜかもう一つ追記付きの記事が上がってしまいました。とりあえずこちらは追記だけにします。前の記事の続きとしてお読み下さい。 ●追記/この後、またやりとりがありました。そこで思ったことなど。「差別」の定義が違うのかな。…

人は知らぬ間に差別者になり、事後的に反差別を選び直す

最近、Twitterで千野帽子さんとやりとりさせて頂いた。質問と回答が若干前後しているがそのまま掲載。 では人はいつ差別者となるのでしょうか? それは他人の属性に否定的な意味づけをするときです。つまり、差別者になるかならないかは、自分の選択なのです…

「個性」のことなんか忘れたほうがいい‥‥連載「絵を描く人々」更新

絵を描く人々 第16回 個性と型 - WEBスナイパー*1 芸術において何より重要とされてきた「個性」について、私はずっと前から懐疑的だ。 「個性」と言われるものは今や、既存の様々な個性の組み合わせか、それぞれの「個別性」に過ぎないし、資本主義と民主主…

絵を描く老女‥‥「丸木スマ展」を観て

人は大人になってから、どんなきっかけで絵を描き始めるのだろうか。 子どもの頃からずっと描いていた人が、社会人になって多忙で休み、仕事から解放されてから再開するという話は時々聞く。見る方専門だった人が、ある時趣味の手習いで始めたというケースも…

「性愛用の女」との同居で「生活用の女」にされた妻はその見返りを得たのか?(ラブドールを家庭に持ち込んだ夫についての感想)

(※7/22追記あります) ラブドールを恋人代わりにする男性のことを初めて知ったのは、10年くらい前にあった某ブログ。彼女との「愛の生活」を綴った日記が面白いということで、一部で人気だった。私も一時期読んでいた。最初に、これ「ピグマリオン」だなと思…

ジェンダー平等社会のエロの位相、あるいは欲望と配慮の関係

男性向けポルノや少年誌のエロ表現関連の話題について、twitterでずっと呟いていましたが、今の時点での自分の考察(仮説)をざっとまとめました。昨日、連ツイしたものに大幅加筆しています。 ● 女性への暴力的な性行為が快楽的に描かれるヘテロ男性向けポ…

『黒水仙』鑑賞メモ

連日むちゃくちゃお暑うございますね。Twitterで呟き過ぎてブログがお留守になるという典型的なパターンを辿っております大野です。 かなり前の呟きですが、メモとしてそのまま置いておきます。『黒水仙』(1947、イギリス映画)、なかなか面白かったです。 …

写真を見て描いたことありますか?‥‥連載「絵を描く人々」更新

絵を描く人々 第15回 写真を見て描く、実物を見て描く - WEBスナイパー これだけ画像が溢れている現在、私たちのリアリティはカメラ抜きには考えられなくなっている、むしろカメラ寄りになっているのでは?という視点から考察しました。*1 写真を最大限に活…

自己実現と失敗と書くこと

内輪の読書会の後の飲み会で、2人の知人に意見をもらったところから、ツラツラと考えたことを書き起こす(Twitterより)。 U氏とK氏は私の思想的基盤(らしきものがあるとして)形成にとって重要な人物だが、「美術家廃業から始まった大野の今のあり方はま…

下駄の季節

昭和30年代後半から40年代が私の子ども時代で、当時、普段履きに下駄を履いている人がまだ普通にいた。きものや浴衣だけでなく、洋服の普段着に下駄を履く。 家の玄関の上り框にはいつも、父の大きくて四角い朴歯の下駄があった。子どもの頃から下駄を履き慣…

『抽象の力』と『描かれた大正モダン・キッズ』を観て

(※Twitterでの呟きに大幅加筆・編集しています) 先週末、会期があと一週間となった『岡崎乾二郎の認識 抽象の力──現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』展*1を観に、豊田市美術館へ。チラシデザインがカッコいいので追加。 表題文字の線、サム・フラ…