日常

朝型生活、犬型生活

以前、専業主婦の妹が毎朝5時半に起きて旦那さんと娘の弁当を作っているという話を聞き、子供のいない私は「えらいなぁ、私みたいなグータラにはとても務まらない」と思った。 グータラかどうかなど関係なく、しなければならないからする‥‥ということだろう…

義父とトンカツ屋に行く

先週、薬の飲み過ぎで体調が悪化した義母が入院した。先日2回目の見舞いに行くとだいぶん元気になっていて、一安心。 病院の帰り、義父が一緒に昼飯を食べようと言うので、前に家族で行ったことのあるトンカツ屋に入った。夫が単身赴任してから、義父、義母…

書ける時間、描ける時間

以前、時々行っていた近くの喫茶店に、一人で来るおばあさんがいた。歳の頃は80歳を過ぎたくらい。 一人だけで来る人は珍しいので観察していると、彼女はコーヒーを注文した後、ラックから写真週刊誌を持って来た。次に、手提げ袋からお絵描き帖と色鉛筆のケ…

老人と犬

2月末以来、事故に遭った飼い犬の件でしばしば動物病院に通っていた。かなり遠くからペットを連れてくる人もいるらしい、わりと大きな病院。土日だと、診察室に呼ばれるまでに1時間以上かかるくらい混んでいる。 私のように子犬を連れている人は珍しく、だ…

一人と一匹、たまに二人

午前中、買い物から帰ってくると、「やっぱり今日行く」と、落ち着かなそうに夫が言った。 「え、今日? 明日じゃなかったの」「うん、明日雨降るって言うし。これから発てば夕方には着くだろ」 見ると、リビングの隅に置いてあった手荷物はもう愛車に積んだ…

子犬を交通事故に遭わせてしまった話

その朝も愛犬の散歩をさせようと玄関先に出て、抱いていた犬をひょいと地面に降ろした。 なぜその時に限って、降ろしてからリードをつけようと思ったのか。まだ散歩に完全には慣れていない3ヶ月の子犬である。一旦道に出て歩き出すまでは、リードを少し引い…

気持ちだけ山の手

東京から転勤などで名古屋に来た人は、市内の東の方に住みたがるという。地下鉄の駅でいうと覚王山、本山、自由が丘、八事、東山公園、星ヶ丘、一社といったあたりだ。交通の便が良く、緑もあり、買い物にも便利で、オシャレな店も多い。通りから一歩中に入…

犬との関係

義両親宅には11歳になるチワワがいる。この犬は私にもよく慣れていて、行くと興奮して飛びついてきて離れない。そんな時、義母は「ほらハッピー、おねえちゃんが困ってるよ」などと言う。「今日はおにいちゃんとおねえちゃんが来てくれて、嬉しいねぇ」。夫…

野蛮な食べ方

30歳を過ぎるまで、カラスミというものを食べたことがなかった。そういう珍味が世の中にあることも知らなかった。 結婚して数年経った頃、お歳暮かなんかで九州の人からカラスミを頂いた。 「なにこれ」 「カラスミ。ボラの卵巣を塩漬けにしたやつ。食ったこ…

正月の家族

正月二日、藤沢に住む二十歳の姪(妹の娘)から電話がかかってきた。新年の挨拶を済ませて彼女が言うことには、「着物を着て写真を撮ってもらうんで、今、パパのうち(姪の父親の実家)に来た。昨日、おばあちゃん(私の母)には電話で、着物姿見せに行くね…

「再び大人になる」ということ

デキ婚しとけばよかった - Hatelabo::AnonymousDiary 「産んで育てられるという体制が整ってから子どもを作ろうとしても年齢的になかなかできず、つらい不妊治療をするほど欲しいかというとそうでもないが、なんとなく子どもがいたらいいだろうなと思いなが…

ある日

朝6時40分。布団から出たくないが朝一の仕事の日なのでエイヤと起きる。ジャージの上にカーディガンを羽織って階下に降りると、夫はまだ爆睡中。テレビを見ながらリビングで寝る(時々起きて仕事したりスマホでゲームしたり)という習慣がついているこの人は…

上映中にコミュニケーションする人

公開中の『かぐや姫の物語』を観に行った時のこと。日曜日で”映画の日”、しかも「三歳未満入場可」だったので、小さな子ども連れもいるだろう‥‥ということは、途中で子どもの声に視聴を多少邪魔される可能性あり。それでもまあいいかと思って出かけた。 客席…

母のこと

毎週1回、仕事帰りに父のいる老人ホームを訪ねているが、時折「さっきお母様がいらしてましたよ。入れ違いでしたね」と言われることがあったりして、たまには時間を合わせて一緒に父を見舞おうということになった。 講義が終わり急いで昼食を済ませて行くと…

「なんとなく」の重さ

自分の仕事が休みの日、夫を駅まで車で送っていく前に、近所の喫茶店に時々立ち寄る。この小さな町に引っ越してきた当初は、蝶ネクタイをしたおじいさんが切り盛りしており、やがて息子さんに代替わりして、それからもう十数年。しばらく行っていない時期も…

描くこと、似た人

見送りの準備 [父]タグのダラダラ長い記事に100以上もブックマークのついたのは初めてで、ちょっと驚いた。 その中の一つ。 elve <妄想>コレ描きながらも泣いてそうだなぁ、と思った。楽しくて哀しくて大変な作業だったろうなぁ〜。</妄想> 2013/10/05 …

見送りの準備

これまでのところ幸運なことに私は、家族やペットなど親密な対象にある日突然死なれたことがない。祖父も祖母もほぼ平均寿命をまっとうして死に、飼い犬も老衰で死んだ。そこまで年老いていない身内の人々は、まだ皆生きている。その中で、今一番確実に死に…

「連れ風呂」の二人

小・中学校の頃、女子には連れ立ってトイレに行くという行動がよく見られた。「◯◯ちゃん、トイレ行かない?」「行く」、「トイレ行こかな」「私も」「私も」というふうに。男子からは「なんで女はトイレまで一緒に行くんだ。金魚の糞か」とからかわれた。 今…

失われた街の人々

『あまちゃん』で描かれているのは岩手県北三陸市という架空の街だが、ロケ地が同県の久慈市だったため、舞台は実質、久慈市ということになっているらしい。 岩手県北西部の海沿いに位置する久慈市も津波の被害を受けたものの、死者2名、行方不明者2名に留…

姪の話

祖父の見舞いがてら、関東方面から名古屋に来た姪(映画の勉強中で服が大好きな19歳)のおしゃべり。 「桐島、部活やめるってよは2回観た、映画観た後トイレに入って他のお客の喋ってるの聞くの、なんかよくわかんなかったねって言い合ってる子たちいたけど…

猫の刺繍のシャツ

飼い猫とお別れしてから「病気」になり、通販サイトで猫グッズをポチりまくっていた話を前に書いた。 そのうち「こんな状態いつまでも続けてたらあかんわ、猫廃人だわ‥‥」という気持ちが起きてきて、「ややお値段の張る上等な猫グッズを買って、終わりにしよ…

猫のいない猫まみれの生活

5年近く一緒に暮らしたタマとお別れして、約一ヶ月経った。 先月下旬、猫アレルギーによる気管支喘息が急に酷くなって急遽里親を募集する一方で、やむなく猫をペットホテルに預けて6日後、猫は知人の家に貰われていった。 その日、猫は知人宅に着くなりどこ…

鴨川の鹿、畳の匂い、エスプレッソ

‥‥‥そんなわけで、愛犬の死、愛猫との別れ、気管支喘息と、この2週間続けざまに心身に喰らったダメージで「もうやめて!サキコのライフはとっくにゼロよ!」*1状態だったが、体調だけは何とか回復させ、昨日は特講で呼ばれていた京都造形芸術大学へ。アート…

犬の生

先々週の木曜日、飼い犬が寝たきり介護状態になった話を書いた。その後、食がどんどん細くなっていき、先週の火曜日には餌を受けつけなくなった。水を少し飲むだけ。一時期は12キロあった体重が8キロまで落ちた。 かかりつけの獣医は、「血液検査はほとんど…

介護される犬、介護される人

犬 (1) かなり前から足腰が弱っていたうちの老犬16歳は、ほとんど自力で立ち上がることができなくなった。敷物が敷いてあってもいつのまにかずれていって、コンクリートで擦ってしまうのかあちこち擦り傷ができ、医者からもらった薬を塗っている。寝たま…

「うち」の記憶の容れ物

私が実家に住んでいたのは高校までだった。浪人と大学時代は東京に住み、その後帰郷してからはなんとなく親と生活空間を別にしたくて、実家の近くの庭付き長屋を借りて住み、結婚して賃貸マンションに引っ越し、やがて市外に中古住宅を買って移り住み、そこ…

名前の煩悩とナルシシズム

大正時代から現在に至る女性の名前の変遷を辿る記事が、ブックマークを集めていた。 女性名から「子」が消えたワケ? 明美が分岐点:日本経済新聞 *1 自分のブコメ ohnosakiko [女][資料]戦前生まれの母も義母も「和子」。戦後の「恵子」は女優の淡路恵子や…

ブルージーンズの位相

久しぶりにアキ・カウリスマキのDVDを借りてきて観た。『ル・アーヴルの靴磨き』(2012)。安定のカウリスマキ節を堪能。ル・アーヴルの靴みがき 【Blu-ray】出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2013/01/16メディア: Blu-ray クリック: 2回この商品を含む…

夢の作業、老婆の顔

「夢の内容 高精度で解読に成功」というNHKニュース。一部抜粋。 研究グループは、3人の男性を眠らせて数分後に起こし、見ていた夢の内容を聞き取るとともに、眠っていた時の脳の活動内容を調べる実験を、それぞれ200回以上、行いました。 そして、見た…

介護とお金と幸せ

有料老人ホームに入居している父の見舞いから帰ってきた母が電話で、「相変わらず言葉はほとんど出ないし寝てばっかりだけど、お父さんは幸せだと思ったわ。あんな暖かくて快適なところできちんと食事をさせてもらって、体も髪も爪も歯もきれいにしてもらっ…